日々

登美彦氏、更新にそなえる。

森見登美彦氏には、色々あった。 登美彦氏は日誌を更新できずにいる。 間を空ければ空けるほど、更新のしにくさは指数関数的に増える。 書かないから、書けない。 書けないから、書かない。 日誌も小説も同じことである。 その膠着状態の中では、「更新しに…

登美彦氏、締切太郎を召還する

八月の頭のことである。 不安感、胃痛、頭痛、倦怠感、手の痺れ、身体のこわばり、めまい等々、色とりどりの症状が一斉に登美彦氏を襲ってきた。かつて美女たちに「軟弱そうに見えて意外に頑丈なのネ」と囁かれがちだった机上の鉄人も、今度ばかりは耐え抜く…

 登美彦氏、手ぬぐいを愛用する

森見登美彦氏は手ぬぐいを使う。 手ぬぐいというものはスバラシイものである。 一時、登美彦氏は「手ぬぐいが好きだ」と不用意に発言したために、やってくる編集者の人たちがことごとく手ぬぐいをもたらし、瞬く間に手ぬぐいコレクションができてしまった。 …

 登美彦氏、反省する

森見登美彦氏がぼんやりしていると、手紙が届いた。 先日、登美彦氏が名古屋に出かけたときに、その会に参加してくれた人からの手紙であった(その手紙の内容については筆者は何も述べる権利はない)。 しかし登美彦氏が一つだけドキリとした一節があったと…

 登美彦氏、近況を報告しない(とくに意味なく)

筆者はそろそろ登美彦氏の近況を報告すべきだと考える。 一方で、登美彦氏は「まだ早すぎる」と述べる。 意味ありげな微笑を浮かべて。 こういう場合、何か恐るべき隠し球的なるもの、すなわち満を持して発表されるやいなや万人の度肝のを抜くことウケアイと…

 ペンギン、本屋さん大賞にて3位になる

森見登美彦氏は締切次郎との関ヶ原的戦さで負傷した。 そういうわけで授賞式を見物に行くことはできなかったが、登美彦氏の息子『ペンギン・ハイウェイ』も多くの方の応援により、ふたたび少し注目されている模様である。 喜ばしいことである。 「これを機会…

登美彦氏、新境地を開かない。

筆者は元旦早々、登美彦氏の近況を報告した。 それから早くも半月が過ぎ去った。 読者諸賢! どうなっているのだろう。すでに我々に与えられた2011年のうち、二十四分の一が過ぎ去ったのである。 その間、登美彦彦氏はいったい何をしていたというのか。 …

登美彦氏、新年を迎える。

本日、登美彦氏は多くの人と同じように2011年を迎えた。 登美彦氏は「神聖なるお正月には何もしてはならない」と厳かに宣言した。近年、登美彦氏は放っておくとだらだらだらだら仕事をしてしまう傾向にある。歯止めをかけなくてはならないのである。 そうい…

登美彦氏、大学生たちに会いに行く

本日は快晴であった。 登美彦氏は仕事場でうにうにとした後、東高円寺というところに出かけた。 すると、そこでは「第4回読書マラソン交流会・リーダーズフェスタ」なる、お祭りめいたものが開催されていて、大勢の大学生たちが待っていた。 登美彦氏の作品…

登美彦氏、締切次郎をジッと睨む

森見登美彦氏は予定を睨んでいた。 予定というか締切次郎たちを。 登美彦氏は呟く。 「諸君はどういうつもりか。そんなにいちどきにやってきても困るぢゃないか。もう少しゆったりと考えて来れないものかね?」 十二月から来年春までに、締切次郎たちがぎゅ…

登美彦氏、トトロを愛でる。

森見登美彦氏の妹と弟が東京見物にやってきた。 登美彦氏は東京に住んで一年半になるが、魂の半分を京都に残してきた上に、机上で大半を過ごしているので、東京の遊び方をあまり知らない。知る努力もしないのは嘆かわしいことである。登美彦氏は「おもしろが…

登美彦氏、のんき玉を作ろうとする。

森見登美彦氏はのんきでありたいと思う。 のんきであるようなフリをしたいとも思う。 登美彦氏は、みんなが忙しがることが諸悪の根源である、と決めつけているのだ。 「みんながのんきなふりをしていればいつの日にか本当にのんきな日が来る」 それが登美彦…

登美彦氏、我が子たちを眺める。

八月某日の深更。 森見登美彦氏は仕事に飽きて、麦酒をごくごく飲みながら、机のまわりを見回していた。そうすると、登美彦氏は我が子たちがずいぶん増えていることにあらためて気づいた。 登美彦氏はたいてい無茶な育て方をするから、どの子もたいてい「や…

登美彦氏、『四畳半神話大系』ディスクを3枚受け取る

暑い夏。 森見登美彦氏はあんまり机から離れない。 やがて涼しくなれば、登美彦氏は外の世界に打って出る覚悟だという。 そんなふうに登美彦氏が仕事を口実にして冷房の快楽を味わっていると、ついに活動漫画版『四畳半神話大系』の第一巻が届いたのであった…

登美彦氏、坂本真綾さんと対談する。

森見登美彦氏は仕事が終わると、ふわふわと角川書店に出かけた。 そうして坂本真綾さんと対談した。 坂本さんは『四畳半神話大系』に登場する明石さんのように、「なぜそんなことをあなたに言わなくてはならないの?」と、登美彦氏をピシャリと冷たくやっつ…

登美彦氏、『四畳半神話大系』最終回を見る。

森見登美彦氏は仕事が終わったあと、角川書店へ出かけて雑誌の取材を受け、『ペンギン・ハイウェイ』300冊にサインをした。 それらの仕事が終わる頃には午前0時を過ぎていた。 登美彦氏は若干焦っていた。 登美彦氏は家路を急ぎ、『四畳半神話大系』が始…

『四畳半神話大系公式読本』増刷御礼

活動漫画版「四畳半神話大系」が四畳半孤独地獄の回を通り過ぎ、ついに今週木曜日深夜に関東では最終回を迎えるというこの時期、発売四日後で『四畳半神話大系公式読本』が増刷となった。編集者氏の謎めいた入魂ぶりが隅々から匂い立つ無意義で楽しい本が増…

登美彦氏の盟友、『ペンギン・ハイウェイ』を読む

森見登美彦氏の盟友である明石氏は、徹夜で『ペンギン・ハイウェイ』を読み切って、夜明けの街に向かって一人号泣し、「俺もお姉さんに会えるように勉強しよう」と誓ったという。彼はスタートレックに登場する「バルカン人」を理想とする論理機械だが一方で…

登美彦氏の盟友、『ペンギン・ハイウェイ』を買う

洛西の竹林で登美彦氏とともに竹を刈り、しきりに嫁を探していた明石氏は、登美彦氏が東京に転勤になるのと時を同じくして司法修習を終え、東京にやってきた。 彼は大きな弁護士事務所にて、寝る間を惜しんで働いている。 わざわざ東京まで出かけてきたにも…

 登美彦氏、幸せと淋しさを噛み締める。

森見登美彦氏は明日も出勤しなくてはならないのであるが、しかし活動漫画版「四畳半神話大系」を見た。それにしても濃密な九話の素晴らしさはどういうことであるかと登美彦氏は呟く。ここに至って、このへんてこなる活動漫画は、壮大な締めくくりに向かって…

 登美彦氏、あちこち登場する。

森見登美彦氏はあちこち登場する。 まずは野性時代という雑誌である。 かつて登美彦氏が初めて「特集」というものをしてもらったのが、「野性時代」であった。そして、ありがたいことに今回が二度目の特集となる。 野性時代80号 (6月11日発売) 総力特…

登美彦氏、圧倒される。

森見登美彦氏は仕事の合間に、活動漫画版「四畳半神話大系」の第七話を見た。放映前であるが、登美彦氏は原作者の立場を利用してDVDを手に入れたのである。 前回においてジョニーが熱く語り出したが、今回は香織さんが語り出す。 かくも危険な脚本を書いた本…

登美彦氏、多忙に立ち回る

五月の登美彦氏はそれはもう多忙であった。 おそらくこれまでで一番多忙な五月であった。 登美彦氏は角川書店の人たちと奈良を探検したり、大江麻理子さんと対談したり、インタビューに答えたりして、「野性時代」の特集の準備をした。登美彦氏と角川書店の…

登美彦氏、大江麻理子さんとモヤモヤ喋る。

かつて我らが森見登美彦氏は、「東京」に用心していた。 なぜなら東京には鉄筋コンクリートの高層ビルがびっしりと立ち並んで植物が生える余地もなく、道行く人間の大半はむやみに高価な羽毛布団を売りつけるたがる金の亡者であり、歩くのが遅い人間は踏み潰…

 登美彦氏、連載を始める。

森見登美彦氏は、宣伝してくださいと編集者の人に頼まれたので、ここに宣伝する。 活動漫画版『四畳半神話大系』を観た人が、ここを観るかもしれないからである。 登美彦氏は近々、電子の海に生い茂る密林の奥にて、新しい連載を始める予定である。 新しい締…

 登美彦氏、正座する。

森見登美彦氏はまだペンギンをあれこれいじっていた。 この期に及んでもなおペンギンたちとギリギリのたわむれを続ける登美彦氏を大目に見る人、そしてその結果を夜更けまで待つ人、つまり小囃子氏を、世界は讃えなくてはいけない。 少なくとも登美彦氏は讃…

 登美彦氏、締切次郎とさようなら、羽海野チカ氏とこんにちは。

森見登美彦氏は昨日早朝4時、締切・ペンギン・次郎を倒した。 机に向かう合間に『3月のライオン』を読み返しながらの苦しい戦いであった。 「棋士たちの苦しみに比べれば…」 登美彦氏はそんなことをつぶやいてみたが、 そもそも棋士のような選ばれし者では…

 登美彦氏の知り合いたちの動向

森見登美彦氏はペンギンたちと机上の死闘を繰り広げていた。 ふと手が止まる。 スティーヴン・キング言うところの「自己懐疑の念」に追いつかれたのである。 「それにしても、なぜ『ペンギン』なのであろう?」 それは作者にもわからないのであれば、だれに…

 登美彦氏が書くときのことを書く

締切・朝日・次郎をついに亡きものにした喜びをかみしめる間もなく、締切・雑誌・次郎たちの大群(およそ3匹)がやってきて登美彦氏をいじめ、なんとか危機を脱したと思えば、もはやそこには今年上半期最大の敵というべき締切・ペンギン・次郎がまちかまえ…

 登美彦氏、春的な一日。

今日は快晴で、街には風がびうびう吹いていた。 朝起きてから昼すぎまで、登美彦氏はペンギンたちと戦った。 できることならば旅に出たい。 電車に乗って旅に出たい。 多忙な年度末にぽっかり存在する三連休なのだから。 しかし、ここで戦わないと小囃子氏が…