森見登美彦氏は仕事が終わったあと、角川書店へ出かけて雑誌の取材を受け、『ペンギン・ハイウェイ』300冊にサインをした。
それらの仕事が終わる頃には午前0時を過ぎていた。
登美彦氏は若干焦っていた。
登美彦氏は家路を急ぎ、『四畳半神話大系』が始まるまでにテレビの前に座ることに成功した。
そして最終回を観た。
OPが始まるなり、登美彦氏は仰天した。
それからあとは楽しさと淋しさを味わいながら目をしっかり開いて見続けた。
しっかり見続ける登美彦氏の目の前で、『四畳半神話大系』は四月から続いた放映を終えた。
かくして登美彦氏は楽しみを一つ失った。
活動漫画版『四畳半神話大系』は登美彦氏がかつて書いた『四畳半神話大系』とは違うかたちではあるものの、しかしこれ以上のかたちは今となっては考えられないほどに楽しい映像化であった。
人生で初めて映像化された自分の作品が、湯浅政明監督による『四畳半神話大系』であったという幸運を、登美彦氏は噛み締めるべきである。
深夜の東京の片隅にて、登美彦氏は感謝の意を捧げる。
湯浅監督に。
上田誠氏に。
中村佑介氏に。
浅沼晋太郎氏に。
吉野裕行氏に。
坂本真綾さんに。
甲斐田裕子さんに。
諏訪部順一氏に。
檜山修之氏に。
藤原啓治氏に。
ここで挙げ切れない、活動漫画版『四畳半神話大系』に携わったすべての人々に。