日々
「ついに見本ができました!」 担当編集者の小袖山さんから歓喜に満ちた連絡があった。 翌日、森見登美彦氏は『有頂天家族 二代目の帰朝』の見本を受け取った。 第一部の刊行から七年半、つまり構想七年半(嘘)、編集者の方々・アニメ関係者の方々・舞台関…
昨日、森見登美彦氏は雪のちらつく京都をぶらぶらしていた。 岡崎にある近代美術館へ行くためである。 なぜ行くのかというと、何か良いアイデアが浮かぶかもしれない、と思ったからである。 しかし残念なことに国立美術館はお休みであった。「事前にきちんと…
森見登美彦氏は東京へ出かけていった。 二月に刊行予定の『有頂天家族』の続編について、綿矢りささんと対談するためである。 対談が終わったのち、万城目学氏も合流して新年会を行う予定であった。 しかし万城目氏がヌルリと電車に乗ってこちらへ向かってい…
謹賀新年 森見登美彦氏は妻といっしょに、玄関先にある信楽焼きの狸を磨いていた。 一年の埃を積もらせた大小二つの狸は、まるで近年の登美彦氏のごとく光を失って薄らぼんやりとしていたが、登美彦氏と妻がキュッキュと磨いてやると、あたかも信楽で地上に…
登美彦氏は『聖なる怠け者の冒険』が京都本大賞になったと聞いた。 しかしながら、登美彦氏が書いているのは偽京都である。 「ひょっとすると偽京都本大賞を貰ったのでは?」 「狸たちが授与しているのでは?」 登美彦氏はそのように考えて本気にしなかった…
森見登美彦氏は『よつばと!』の新刊を待っているが出ないのである。 しかし「新刊が出ない」ということについては、色々な人が色々な事情を持っていることを、登美彦氏はいやというほど知っている。 もっと我々はやさしさを持たねばならぬ。 「スケールの大…
どれだけの人が気にしている問題か分からないが、ともかく森見登美彦氏は生きているという厳然たる事実をここに報告するものである。 そして、もはや話題にすることさえ憚られるが、登美彦氏はいま『有頂天家族』第二部のえんえんたる書き直しを経てクライマ…
2013年に世に出た『聖なる怠け者の冒険』が本屋さん大賞にノミネートされた。 そういうわけで朝日新聞出版の方々がおおいに奮起して、「聖なる怠け者の冒険」twitterというものを始めた。 twitterはコチラ。 https://twitter.com/namakemono2014 フェイスブ…
森見登美彦氏は机に向かってボンヤリしている。 机上には毛玉や天狗や半天狗や胡散臭い幻術師がこんぐらがっている。 有頂天家族の第二部は着実に進んでいるが、着実にユックリである。脳の谷間から滴り落ちる液体を朱塗りの椀に溜めているかのようにユック…
「明けましておめでとうございます」 森見登美彦氏は言った。 「こちら森見登美彦、生きております」 新年の挨拶にしては、いささか遅すぎるのではないか? すでに世間ではお正月気分が一掃され、大勢の善男善女が「新年の抱負」を実現すべく果敢に走りだし…
すでに秋である。 森見登美彦氏はこの夏のことを振り返っている。 アニメ「有頂天家族」は登美彦氏に良い想い出をたくさんもたらしてくれた。南座のイベントに始まり、監督たちとたくさん喋り、富山のPAワークスへ遊びに行ったり、監督のサイドカーにのせ…
舞台裏を公開しても楽しいことは何もないが、森見登美彦氏は『有頂天家族』の続編に苦労している。 モタモタしているうちに放送が開始され、放送中のテレビアニメを横目に見ながらその続編を執筆するという、もっとも避けるべき事態に巻き込まれてしまった。…
森見登美彦氏は、テレビでアニメ「有頂天家族」が放送されていることを確認し、原作者としての本日の仕事を終えた。
今日は七夕である。 おりひめとひこぼしが何かしているのである。 今宵、アニメ「有頂天家族」の放映が始まる。 今はまだ午後九時十五分である。 奈良にいる登美彦氏は、孫の運動会を見学に来た祖父のように、ソワソワと落ち着きがない。 テレビはKBS京都に…
アニメ「有頂天家族」のイベントがあるというので、登美彦氏は南座へ出かけた。 登美彦氏は着慣れない浴衣でヨチヨチ歩いて、南座の建物に楽屋口から入り、エレベーターに乗り、廊下を歩いていった。畳を敷いた部屋があって、「森見登美彦様」と書いた紙が貼…
今を去ること二年前、森見登美彦氏は締切太郎を召還した。 締切太郎の召還とは「並み居る締切次郎たちを一斉に投げ出す」という荒技であり、人生にそう何遍も使える手ではない。乱用すると信用をなくす。しかし当時の登美彦氏はくたばりかかっていたため、や…
森見登美彦氏は東京、名古屋、大阪、京都のサイン会を終えた。 サイン会は楽しく始まり、楽しく終わった。 あまりにも大勢の人たちと連続して会ったので登美彦氏の脳天に血がのぼったことを除けば、サイン会は平和に進んだ。 登美彦氏の著作を介して知り合っ…
森見登美彦氏の第十二子が、全国の書店でうごうごしている。 幸いなことに登美彦氏は、朝日新聞出版から「増刷しますよ」とお知らせを受けた。 お買い上げいただいた紳士淑女の皆さんへ、 「ありがとうございます」 と、登美彦氏は述べている。 そしてこれか…
村上春樹氏の新作はたいへんに売れているということである。 あんなことは登美彦氏には起こるわけがない。 そう言う人もあるだろう。 「いやしかし!」 登美彦氏は仕事場の達磨の目をぐいぐい塗る。 そして、我が子がおおいに活躍することを祈願する。 「志…
三月十六日、森見登美彦氏は生駒市図書館で講演的なものをした。 生駒市は登美彦氏がこの世に生をうけた地であり、大学に入学して奈良をはなれるまで暮らした街でもある。 登美彦氏は幼少の頃、今は亡き祖父といっしょに生駒市図書館へ行った記憶がある。 「…
森見登美彦氏は『よつばと!』を読んだ。 「このかわいらしい凄みときたら!」登美彦氏はぷつぷつ呟いた。 できるだけユックリと読み進めたものの、読み進めた先で待つ「読了」という運命を避けることはできない。登美彦氏はやむを得ず読み終え、「また次の…
森見登美彦氏の日誌の更新をお知らせするtwitterを開始した。 森見登美彦 (@Tomihiko_Morimi) | Twitter この日誌「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ」は、「今にも更新が途絶えそうなのになかなか終わらない」という感じで続いてきた。 どれだけの人…
そろそろ世を飛び交う「明けましておめでとう」も落ち着いてきた頃であろう。 森見登美彦氏は奈良でひっそりと年末年始を迎えた。 さて、お正月のこと。 ひょっこりと2013年氏が訪ねてきた。 2013年氏は達磨のように着ぶくれていた。 そして巨大で真っ赤なマ…
森見登美彦氏は暗礁を抜け、締切次郎との和解を図っている。 怠け者の尻を叩く。ぺちぺち叩く。 とにかく、書くほかないのである。 さて、そんなふうに登美彦氏が机に向かって呻吟していると、 『ペンギン・ハイウェイ』のCMがポコンと生まれた。 自分の作品…
森見登美彦氏は小説を書いている。 昨年の夏。 プツンと緊張の糸が切れ、 何もかもが停止した。 迷走しているうちに時間が過ぎた。 沈黙している場合ではなかったが、 沈黙するほかなかったのである。 幸いなことに締切次郎は駆逐された。 今のところ、やつ…
先日、森見登美彦氏は「Sherlock」というドラマを観た。 シャーロック・ホームズを現代のロンドンに甦らせたドラマで、 その豪快なハッタリぶりがたいそうステキなドラマであった。 登美彦氏はワクワクして観たのである。 ドラマは続きが気になるところで終…
登美彦氏は映画館へコップを一つ持っていった。 映画が進むにつれて、ぽたりぽたりと水が降ってきて、 そのコップに少しずつ溜まっていく。 いちどに降ってくるのはちょっとだけ。 ぴちゃんという音もしなかった。 まるで魔術のように、水はまっすぐコップ目…
森見登美彦氏は生きている。 じわじわ元気になってきた。 先日の筆者の書き方が下手くそで、 大勢の人に心配をおかけしたことをお詫びします。 「あんな書き方したら心配されるのは当然ですよ」と万城目学氏も言った。 しかし、登美彦氏の一番苦しい時期はも…
森見登美彦氏は、どっこい生きている。 登美彦氏はつい先日まで、ふいに息が苦しくなることがあった。 心臓がへんな動きをすることもあった。 登美彦氏の身体に問題はないようである。 しかしそう言われても、怖いものは怖い。 怖い怖いと思いながら我慢して…
森見登美彦氏はのんびり暮らしている。 奈良というところはたいへん静かである。 学生時代、登美彦氏は北白川バプテスト病院のそばに住んでいた。 四畳半の内も外も、たいていひっそりとしていた。 しかし卒業後は賑やかな方へ出てきた。 京都の四条烏丸であ…