2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

登美彦氏、うめく。

森見登美彦氏は恐れていた事態が見事にやってきたので驚いた。 「引っ越しと締め切りが重なった!」 登美彦氏はさらに叫んだ。「さらにもう一つ、締め切りがあるのを忘れていた!」

登美彦氏、本上まなみさんと対面する。

京都ひきこもり作家森見登美彦氏は、ぶらりと東京へ出かけた。 東京は雨であった。 登美彦氏は傘を持っていなかったので、目黒駅から編集者の小囃子氏と相合い傘で歩いた。 道々、登美彦氏の顔色はどんどん悪くなり、足どりは鈍くなった。「もうだめだ。絶対…

『新釈 走れメロス』(祥伝社)(来月刊行予定)

四畳半近代文学案内。 登美彦氏の手をほぼ、はなれる。 現在、編集者の人が仕上げに向けて辣腕をふるっているところの模様。

野性時代4月号(3月12日発売)

特集「森見登美彦」。 現在、編集者の人・登美彦氏が、わいわいがやがやと支度中。

「asta*」4月号(3月6日発売)

「恋文の技術」 第三話「偏屈作家・森見登美彦先生へ」 六月朔日 拝啓。森見登美彦様。ご無沙汰しております。 後輩の守田一郎です。 覚えておいででしょうか。部活時代、春合宿先の野外活動センターにて、森見さんが魂の保湿のために隠し持っていたグラビア…

「小説NON」3月号(2月21日発売)

「百物語」 これは私が百物語の催しに出かけた話である。 百物語というのは、大勢の人が座敷に集まって百本の蝋燭を立て、怪談を一つ語り終わるごとに蝋燭を吹き消していくという遊びだと聞いたことがあった。私は、仏壇に立てるような白くて小さな蝋燭を思…

登美彦氏、チョコでえねるぎいをつける。

森見登美彦氏は朝から仕事に励んでいたが、そのかたわらにはチョコレートがある。 「かつてはこんな事態になると思ったこともなかったが、しかし、そうなっているのだから驚くほかない・・・人生というのはわけのわからないものだ」 登美彦氏はぶつぶつ言っ…

登美彦氏、近況。

森見登美彦氏は雑誌Yのための小説を書き上げ、インタビューに答え、同僚の御母堂からヴァレンタイン・チョコを受け取り、通勤電車中でゲラを読み、駅でバッタリ出会った読者から「中学生日記風」にヴァレンタイン・チョコを受け取り(しかも事態が飲み込め…

「hon・nin」(3月8日発売)

「お詫びしたい」 机上を離れた日常は、ことごとく他流試合のようなものだ。掃除も炊事洗濯も通勤も恋も仕事も酒席の礼儀作法も編集者との打ち合わせも、一切がことごとく意のままにならない。他流試合を勝ち抜くことに意義を見いだす人もいるけれども、私は…

「小説宝石」3月号(2月22日発売)

美女と竹林 第三回「竹林整備初戦」 洛西の竹林へ通っては、奴隷のごとく黙々とノコギリを振るい、切り倒しては積み、切り倒しては積むだけの日々。誰からも賞賛されない、孤独な営みが続くであろう。彼の前に道はなく、彼の後ろに道ができる。 だがいずれ、…

「小説すばる」(2月17日発売)

ヨイヤマ万華鏡第一話「宵山姉妹」 彼女と姉の通う洲崎バレエ教室は三条通室町西入る衣棚町にあって、三条通に面した四階建ての古風なビルであった。彼女たちは土曜日になると、ノートルダム女子大学の裏手にある白壁に蔦のからまった自宅から母親に送り出さ…

登美彦氏の子どもたち、駆ける。

登美彦氏の愛娘が駆ける駆ける。 愛らしい軽やかなステップで。 「さあ、お兄さんたちも!私と一緒に参りませふ!なむなむ!」 次男三男がそれに続いて駆ける。 「かまわないんですかね。僕が一緒に走っても」 さらに小型化した長男まで走り出した。 「どう…

登美彦氏、うめく。

二月一日、貫禄の大寒波に襲われた登美彦氏は夜空へ叫ぶ。 「寒い!」 二月一日、自己責任による多忙地獄に陥った登美彦氏は夜空へ叫ぶ。 「忙しい!」 さらに登美彦氏は独白した。 「忙しい忙しいと言って回る人間にかぎって本当は忙しくないものだという・…