長尾真さんとの思い出

 

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 森見登美彦氏は大学院に在学中の2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビューしたが、その年まで京都大学の総長だったのが長尾真氏である。といっても、四畳半アパートでモゾモゾしている腐れ大学生が総長と顔を合わせる機会は基本的にない。遠くからその姿をチラリと見ただけである。

 その後、登美彦氏が大学院を卒業し、国立国会図書館に就職して働いていると、長尾真氏が館長に就任することになった。まさか総長が館長に変身するとは!

 といっても、登美彦氏は関西館で働いていたので、館長と顔を合わせる機会はやはりなかった。いや、たしか一度だけ、長尾館長が関西館へ視察にやってきて、収集整理課の中を通り抜けていく姿を眺めたような気がするのだが、どうも記憶がボンヤリしているので、もしかすると館長の夢を見たのかもしれない。

 やがて登美彦氏は永田町の東京本館へ転勤し、死ぬほど忙しい二足の草鞋生活を一年半続けた後、ついに力尽きて退職することになった。

 2011年九月の末である。

 人事課の女性に連れられて、国会図書館の館長室へ、退職の挨拶に向かった。初めて足を踏み入れる館長室はびっくりするほど明るくて広々としていた。さすが館長!と登美彦氏は感心した。そこでようやく長尾真氏と言葉を交わすことになったわけだが、残念ながら何を話したのか、ほとんど記憶に残っていない。

 「森見さんは小説を書かれるのですか」

 長尾館長が少し困ったように言ったことだけはおぼえている。わざわざ安定した職を捨てて、「小説家になる!」などと言いだした若手職員の行く末を心配しているようであった。人事課の女性が「森見さんは売れっ子なんですよ」と言ってくれたが、そのような意見も今ひとつ効果がなく、長尾さんの心配そうな顔は変わらなかった。なんだか申し訳ない気持ちになって、登美彦氏は館長室をあとにしたのである。

 本日、長尾真氏の訃報に接して、十年前のそんな記憶がよみがえってきた。

 ご冥福をお祈りいたします。

超短編・大どんでん返し「新釈『蜘蛛の糸』」

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 小学館の文芸誌「STORY BOX」6月号(5月20日発売)に、「大どんでん返しspecial」第一回として、森見登美彦氏の超短編「新釈『蜘蛛の糸』」が掲載されている。芥川龍之介の有名な短編小説「蜘蛛の糸」を一度グイッと裏返し、さらにもう一度裏返したものである。

 これを「大どんでん返し」と言ってよいのだろうか?

舞台「夜は短し歩けよ乙女」特別番組

 

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 昨日、舞台「夜は短し歩けよ乙女」に向けた特別番組がフジテレビにて放映されましたが、その完全版がyoutubeにもアップされました。【冬】では、森見登美彦氏が進々堂にて、中村壱太郎氏・上田誠氏と鼎談しております。

 

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「夜は短し歩けよ乙女」舞台化される。

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 「夜は短し歩けよ乙女」が舞台化される。

 脚本と演出を手がけるのは劇団ヨーロッパ企画上田誠氏である。

 上田誠氏にはこれまで、TVアニメ「四畳半神話大系」、劇場版アニメ「夜は短し歩けよ乙女」と「ペンギン・ハイウェイ」といった映像化でお世話になっており、さらに昨年はそのお返しとして、登美彦氏がヨーロッパ企画の舞台を小説化して『四畳半タイムマシン・ブルース』を発表した。ふたりの清らかなおじさんの間を企画が行ったり来たりすることによってお金を産みだしているわけで、この胡散臭いシステムを万城目学氏は「フィクション永久機関」と名付けた。

 そもそも登美彦氏と上田誠氏が出会ったのは、「夜は短し歩けよ乙女」の実写映画化企画がきっかけであった。その企画はあのリーマンショックによって頓挫したはずである。それから十数年、たびたび本作の映像化企画が浮上し、そのたびに上田氏は脚本を書き、にもかかわらずそれらの企画はすべて頓挫した。やっとのことで実現したのが湯浅政明監督による劇場版アニメ映画だった。つまり上田氏は、実現しなかった企画を含めると何作分もの「夜は短し歩けよ乙女」を書いてきたのである。彼は「夜は短し」の世界的権威と言ってよく、その皺深き脳の谷間には、あり得たかもしれない幾つもの「夜は短し」がひしめいているのだ。というわけで今回の舞台化は、上田氏による「夜は短し歩けよ乙女」研究の集大成となるだろう。

 明日4月29日22:00から、本作をめぐって上田誠氏と登美彦氏が語り合う予定。お時間のある方はブラリと立ち寄っていただければ幸いである。

 

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森見登美彦氏、清風荘でアレコレ語る(動画公開)。

 第77回京都大学未来フォーラムの動画が、京都大学Youtube公式チャンネルにて一般公開された(全三回)。昨年、森見登美彦氏が京都大学の藤原辰史氏とアレコレ語り合ったものである。収録日がちょうど快晴だったこともあり、西園寺公望の私邸として建てられた「清風荘」がとても美しい!

 それなりのボリュームがあるので、お時間のあるときにノンビリご覧ください。

 

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