エッセイと超短編

 気がつけば、この日誌を更新することもなく、ほとんど丸一年がすぎた。

 その間、森見登美彦氏はいつものように執筆に難渋し、巨大な暗礁に乗り上げていた。あまりに難渋するので、「もうずっとこの暗礁に住みついてやろうか!」と捨て鉢なことを思っていたが、なんとか『シャーロック・ホームズの凱旋』は完成し、来年一月二十二日に発売予定である。またしても怪作になったが、そんなことはもう心底どうでもいい。完成するならなんでもいい。完成こそ正義である。

 あまりにも長く孤立した暗礁で暮らしていたので(なにしろコロナ禍の始まる前から書いていた)、森見登美彦氏の魂はまだ「ヴィクトリア朝京都」から現実世界へと完全には戻ってきていない。しばらくはリハビリの日々が続くだろう。とりあえずは温かな鍋料理をどっさり食べて、英気を養わねばならない。

 そんなことはともかく、お知らせが二つある。

 ポプラ文庫『わたしの名店』(12月5日発売予定)に、登美彦氏のエッセイ「夏の夜を味わう山上レストラン」が収録される。また、小学館文庫『超短編!大どんでん返しSpecial」』(12月6日発売予定)に、登美彦氏の超短編「新釈『蜘蛛の糸』」が収録される。どちらも短めの作品を集めた読みやすいアンソロジーであり、眠る前に布団の中でチョコッと読むとか、電車の待ち時間にチョコッと読むとか、じつにイイカンジの本ではないだろうか。

 こういうものをノンビリ読みながら、年明け刊行の『シャーロック・ホームズの凱旋』をお待ちいただければ幸甚である。