2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「魔風邪恋風邪」 偏屈ラブコメ完結編 風邪をひいた男 「しかし、そこまで徹底して考えろと言うのならば、男女はいったい、如何にして付き合い始めるのであろうか。諸君の求めるが如き、恋愛の純粋な開幕は所詮不可能事ではないのか。あらゆる要素を検討して…
森見登美彦氏は「ハチミツとクローバー」の最終巻を読み終わった。 感想を聞かれた登美彦氏は、「じつに美しいマンガだ」と述べて、宙を睨んだ。 しばし、沈黙があった。 やがて登美彦氏は拳を握り、「でも納得できん!やっぱり納得できんよ!」と呻いた。な…
森見登美彦氏は、一年以上にわたって書いていた連作とようやく縁を切ることに成功した。 「サヨナラ!サヨナラ!」 登美彦氏は波止場に立って白いハンカチを振り、去りゆく船を見送った。 別離の哀しみに涙が溢れるよりも前に、ようやく終わったと溜息が溢れ…
森見登美彦氏は、殺伐としたTシャツと、なんだか正体のよく分からないだるだるのズボンで寝るのに飽き飽きして、パジャマが欲しくなった。 「パジャマパーティしてえ」 登美彦氏は呟いた。「一人で」 登美彦氏はパジャマパーティの定義を良く知らない。 い…
▲登美彦氏は一年にわたって粛々と書いていた作品(A)の最終回を、「エイッ」と編集者へ放り投げた。まだ「おしまい!」と宣言してカルピスを飲むことは許されない。これから書き直さねばならないからである。 ▲登美彦氏は作品(A)を放り投げた後、間髪入…
森見登美彦氏は、昨年春より書いていた某雑誌の連作の最終話を、鳩サブレ(先日、編集者より贈られたもの)を栄養源にして書き続けており、あと数日で書き終える模様である。登美彦氏の情熱的な夏の大半は、この作品へ捧げられた。 登美彦氏はいつでもこの作…
森見登美彦氏は冷たい雨が降りしきる夜の町を、住まいに向かってとぼとぼと歩いていたが、ふいに立ち止まり、呆然と辺りを見回した。 夜の路地裏はひっそりとしていた。ぽつぽつと灯る街灯の投げかける光が、濡れた路面を照らしている。肌寒い風が登美彦氏の…
「御都合主義者かく語りき」 追う男。 「学園祭というただでさえ荒れ狂う大舞台において、我々はてんで勝手に大団円を求め、無闇やたらと迷走する。やがて我々をとらえるのは、「とにかく幕を引こう―ただしなるべく己に有利なかたちで」という手前勝手な執念…
森見登美彦氏は、無用の苦難に敢えて耐え、ひとまわり大きな自分になるために「一人ハチクロ」へ挑んだ。だがしかし、そういったことを日誌にて報告すると、氏がそうやって机から離れることを憂う関係者から「サボっちゃいかんよ、コノヤロウ」という矢文が…