2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 「パピルス」(幻冬舎) 23号

■有頂天家族 第二部 「下鴨家の憂鬱」 尻の毛を秋風が揺らす頃、狸たちは他の毛玉の温もりが恋しくなる。毛むくじゃらの身体を寄せて暖め合うことができるのは、ケモノに生まれた狸が断固死守すべき特権である。 だからこそ、秋になると、狸たちは家族の温も…

『夜は短し歩けよ乙女(5)』

登美彦氏の第七男がじりじりと誕生の瞬間へ向かって歩んでいる。 登美彦氏の次女がいそいそと装いをあらたにしている。 登美彦氏の第八男は、まだ部屋の隅であくびをしている。 子どもたちがわらわらしている。 しかし嘆かわしいことに、登美彦氏はもう締切…