登美彦氏の子どもたち、駆ける。


 登美彦氏の愛娘が駆ける駆ける。
 愛らしい軽やかなステップで。
 「さあ、お兄さんたちも!私と一緒に参りませふ!なむなむ!」

 夜は短し歩けよ乙女

 
 次男三男がそれに続いて駆ける。
 「かまわないんですかね。僕が一緒に走っても」

 
 きつねのはなし


 さらに小型化した長男まで走り出した。
 「どうだ。俺だろう。やっぱり俺の出番だろう!」

 
 太陽の塔 (新潮文庫) [ 森見登美彦 ]


 そしてついに、ひねくれ者の次男が立ち上がった。
 「まあ少し走ってみるかい。眠れる獅子ついに立つ」


 四畳半神話大系


 最後尾を、息も絶え絶えについていくのは登美彦氏である。
 「我が子たちの活躍が華々しすぎて、父さんは鼻血が出そうだよ」
 登美彦氏は多忙を極めていると主張する。
 「なにしろ、もうすぐ四男(あだ名:メロス)がこの世へやって来る。今、頭が出たところ」