登美彦氏の愛娘が駆ける駆ける。
愛らしい軽やかなステップで。
「さあ、お兄さんたちも!私と一緒に参りませふ!なむなむ!」
次男三男がそれに続いて駆ける。
「かまわないんですかね。僕が一緒に走っても」
さらに小型化した長男まで走り出した。
「どうだ。俺だろう。やっぱり俺の出番だろう!」
そしてついに、ひねくれ者の次男が立ち上がった。
「まあ少し走ってみるかい。眠れる獅子ついに立つ」
最後尾を、息も絶え絶えについていくのは登美彦氏である。
「我が子たちの活躍が華々しすぎて、父さんは鼻血が出そうだよ」
登美彦氏は多忙を極めていると主張する。
「なにしろ、もうすぐ四男(あだ名:メロス)がこの世へやって来る。今、頭が出たところ」