2008-01-01から1年間の記事一覧

登美彦氏、招待状を受け取る。

枯れた創造の泉の岸辺に、森見登美彦氏が三角座りをしていた。 登美彦氏は二月頃からずいぶん長くそうしている。 全地球的規模で進む環境破壊は、辺境にある登美彦氏の創造の泉にまで及んだ。 荒涼たる岸辺に座る登美彦氏は、かつての泉を思い浮かべる― 小さ…

登美彦氏、謝る。

二月頃、森見登美彦氏は創造の泉が枯れた音を聞いた。 ただでさえ小さな泉であったのに・・・ もはや小説を書き続けることはできない。 暗雲垂れこめる未来に関する妄想がつぎつぎと脳裏に浮かぶ。 とても仕事が手につかない。 しかし不思議なのは、暗雲垂れ…

『夜は短し歩けよ乙女』(角川書店)

さらに登美彦氏は二次元化した長女も受け取った。 マンガ化についてのコメントは、巻末に登美彦氏が書いているので、ここに多くは述べない。 「可愛い」 と、だけ述べる。 「可愛い」 と、もう一度述べてもよいだろう。 二次元化した長女がいつごろ書店に並…

 『四畳半神話大系』(角川書店)

森見登美彦氏はついにできあがった「小型化した次男」を受け取った。 そしてしみじみと嬉しかった。 登美彦氏は何一つ特筆すべき趣味のないつまらない男と言われることが多いが、しかし「小型化した自分の本を撫でまわす」という立派な趣味を持っている。 「…

 万城目学氏、動向。

今年はじめに京都で開催された秘密会談において、万城目氏は「テレビドラマの『鹿男あをによし』をぜひ観るように!」と登美彦氏に強く迫ったが、登美彦氏は原作者本人からすすめられたにもかかわらず、当初の決意を変えることはなかった。 ここに登美彦氏の…

登美彦氏の作品近況

森見登美彦氏はたいへん億劫がりであるうえに、忘れっぽい。 書いたはしから忘れていく。 書いた作品を予告することも忘れていく。 登美彦氏はおぼろげな記憶を辿ってみる・・・ ・asta 2月号 「我が心やさしき妹へ」(恋文の技術) ・YomYom 6号 「或る失…

登美彦氏、久しぶりに挨拶する。

登美彦氏は久しぶりに挨拶した。 「みなさま、こんにちは!それでは、また!」 とりあえず生きていることは報知しておこうという魂胆だ。 そうでないと忘れられてしまうからである。

登美彦氏、殺意をおぼえる。

森見登美彦氏は高熱を発して丸二日寝込んだ。 丸二日寝込んだあとに待っていたのは締切であった。 それもたくさん。 締切がたくさん。 締切がたくさんあるときにかぎって、 なんだか「ゲラ」というものも、 たくさん宅急便で送られてくるのである。 世の中と…

 登美彦氏はテレビを観ない。

鍵屋さんは、登美彦氏に会いに来る編集者の人たちはぜったいに口にしないようなことを平気で言うのである。 もちろん、同僚だからである。 「万城目さんの小説はドラマになるのに、森見さんのはならないんですか?」 森見登美彦氏は奈良出身であるし、「鹿男…

登美彦氏、新年の挨拶をする。

謹賀新年。 「読者の期待にこたえない」 森見登美彦氏は布団にくるまってぶつぶつ言った。 二○○七年の登美彦氏のはしゃぎぶりは、目にあまるものがあった。 未来に絶望して四畳半で呻いてばかりいた登美彦氏が、おのれの力量もかえりみずにあちらこちらへ出…