今年はじめに京都で開催された秘密会談において、万城目氏は「テレビドラマの『鹿男あをによし』をぜひ観るように!」と登美彦氏に強く迫ったが、登美彦氏は原作者本人からすすめられたにもかかわらず、当初の決意を変えることはなかった。
ここに登美彦氏の「うつわ」の限界をみてとることができよう。
しかし。
登美彦氏がそうやって意地を張ってふくれている一方で、万城目氏はちゃくちゃくと策謀をめぐらせていたのだ―『鴨川ホルモー』の映画化、そしてエッセイ集の発売。
万城目氏はその最新刊を登美彦氏に送ってくれた。
エッセイ集『ザ・万歩計』は、表紙にたくさんの万城目氏がうごめく不気味このうえない本であり、善良なる読者の安眠をさまたげることうけあいである。
そんなおそるべき表紙の中にある一服の清涼剤は、万城目氏に鉄拳をお見舞いする「登美彦氏の右腕」であろう。
これを「友情出演」と呼ぶべきか、否か。
ぜひとも書店で確認されることをおすすめする。
買うか買わないかは、あくまで読者の自由である。
「自由を我らに!」と登美彦氏は言っている。