登美彦氏、サヨナラの支度をする


 森見登美彦氏は、昨年春より書いていた某雑誌の連作の最終話を、鳩サブレ(先日、編集者より贈られたもの)を栄養源にして書き続けており、あと数日で書き終える模様である。登美彦氏の情熱的な夏の大半は、この作品へ捧げられた。
 登美彦氏はいつでもこの作品とサヨナラできるように、涙を拭う白いハンカチと、一人で祝杯を上げるためのカルピスを用意した。


 「諸君!サヨナラだけが人生だ!」


 登美彦氏はさらに付け加えた。
 「しかし、サヨナラできるというのは、いいもんだな!」