2006-09-06 登美彦氏、悟る 日々 森見登美彦氏は冷たい雨が降りしきる夜の町を、住まいに向かってとぼとぼと歩いていたが、ふいに立ち止まり、呆然と辺りを見回した。 夜の路地裏はひっそりとしていた。ぽつぽつと灯る街灯の投げかける光が、濡れた路面を照らしている。肌寒い風が登美彦氏の濡れた細腕を撫でていった。 「たった今、気づいたが」 登美彦氏はおずおずと言った。 「ひょっとして・・・夏、終わってへんか・・・?」