登美彦氏、なんだかうごうごする


 森見登美彦氏は身辺が色々と賑やかになってきたので、何から手をつければよいか分からず、うごうごしている。
 何から手をつければよいか分からないというのは「もののたとえ」であって、実際のところ手をつけるべきは、本日華麗に踊りながら素通りした締め切り以外なにものでもないことは、登美彦氏も薄々感づいている。
 それでもなお、登美彦氏は「何から手をつければよいか分からない」と腕を組んで比叡山を仰ぎ、ややハンサムボーイに見えるであろうと氏が信ずる角度の顔を誰にともなく見せつけている。思うさま、見せつけている。




 うごうごしながら登美彦氏は気づいた。
 「なんたることだ!もう一年の六分の一が終わった!うごうごしている場合ではない」