登美彦氏動向(1/12)


 △森見登美彦氏は幼い頃の自分の写真を眺めていたが、そのあまりの愛くるしさに涙を浮かべ、「一体どこで何を間違ったのであろう」と自問してみたが、自問してみたにすぎない△登美彦氏は恋文の代筆屋で生計を立てるという一計を案じたが、案じてみたにすぎない△登美彦氏はようやく次なる書き物にとりかかろうとしたが、とりかかろうとしてみたにすぎない△このように登美彦氏は、氏を罠にかけようとする運命の女神を巧みに欺いている。つもりであるにすぎない。