登美彦氏、阿呆に阿呆を塗り重ねる


 森見登美彦氏は、己の恥を満天下にさらすことにあるていど目をつむれば乗り越えられる暗礁をあえて直視して切り崩そうとしているが、ナントカしようとすればするほど暗礁は眼前に盛り上がり、やがてエベレストみたいに高くなってしまった。
 ようするに登美彦氏は自作の書き直しにとりかかっている。しかし、過去の作品を書いた登美彦氏が阿呆であるうえに、現在の登美彦氏も往年の阿呆にますます磨きがかかるばかりであり、その結果、阿呆の上に阿呆を塗り重ねる錯乱した事態へと陥った。「なんだかもうどうしようもねえ」と登美彦氏はつぶやいている。どの角度から書き直しても恥ずかしいという。「骨格が恥ずかしいのだから仕方がない」という。
 しかしながら「阿呆に阿呆を重ねるのは大好きである」とも登美彦氏は言っている。
 いったいどっちなのだ。やりたいのか、やりたくないのか。
 そういう非難の声が上がっている。