「太陽の塔」(予告)


 森見登美彦氏は、「太陽の塔」が文庫本になるということを、ごく一部関係者に明かした。
 ところで、文庫本には解説なるものがつく。登美彦氏は、氏の薄暗き青春に温かい一筋の光を投げかけた恩人の手になる解説を読むのを心待ちにしているという。黄金の「解説」をその手に握った時こそ、氏の唾棄すべき青春のいっさいが正当化される。
 「諸君、結果が過程を正当化する!」
 登美彦氏はそう言い切った。


 詳細を知らない人間には何のことだか分からない。しかしながら、現時点で確認されているのは登美彦氏による証言のみである。いまさら解説するまでもなく、登美彦氏と妄想とは切っても切れぬ関係にあり、「妄想をとるか、登美彦氏をとるか、それはもう問題じゃない」とかつて沙翁も書いたほどだ。すべてが登美彦氏の誇大妄想にすぎない可能性が捨てきれぬ以上、筆者には詳細を報じるだけの度胸が湧かない。