森見登美彦氏、広島へ出かける。

 
 

夜行

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徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男

徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男


 昨日、森見登美彦氏は広島へ出かけた。
 2011年から続く「広島本大賞」は今年で七回目である。小説部門に登美彦氏の『夜行』、ノンフィクション部門に木村元彦氏の『徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男』が選ばれた。贈賞式にて登美彦氏は木村元彦氏と今西和男氏にご挨拶した。登美彦氏はスポーツ全般についての知識がほとんどなく、『徳は孤ならず』を読んで初めて、広島が日本のサッカーにおける大事な地であったことを知ったのである。
 『夜行』は広島だけを舞台にした小説ではない。そういうわけで登美彦氏は「なんだか申し訳ない」気持ちでもあったのだが、『夜行』第一章の舞台となった「尾道」には格別の思い入れがあることもたしかである。
 『夜行』という小説は「尾道」に始まり「京都」に終わる。
 登美彦氏の描く「京都」が「偽京都」であるように、登美彦氏の描く「尾道」もまた「偽尾道」であるにはちがいないが、登美彦氏はひとつひとつの土地をそのようにして自分の妄想を通してしか描くことができない。
 この「偽尾道」が広島の皆さんにも面白いものであれば……
 そう登美彦氏は祈っている。