森見登美彦氏が青森を舞台にした怪談を書いている。
登美彦氏は学生時代に一度、恐山へ行くために青春18切符で青森へ出かけた。そして恐山において霊山アイスを食べて死後の世界の冷気を味わった。また昨年には上野発の夜行列車に乗って青森へ出かけた。編集者の人たちと車窓の風景に興奮し、宿で飲むはずだったシャンパンを瞬く間に消費した。
この作品にはそういった記憶が反映されているかもしれない。
しかし、この短編はあくまで妄想的怪談である。
登美彦氏が明朗愉快な想い出を書き込めなかったからといって、青森をあんまり不気味な県だと思うべきではない。