登美彦氏、師走の到来を告げる。


 登美彦氏は拳を固く握り、叫んだ。
 「諸君!師走だ!」
 今年も残すところあと〆切3つである。


 森見登美彦氏の近況を報告しなければいけない、しなければいけない、と考えているけれども、登美彦氏があまりにもめまぐるしく動き回るので近況を書くことも困難である。登美彦氏はおおむね机上でうごうごしている。
 そしてよく考えてみると、報告しなければならないことなど何もないのだ。
 登美彦氏が不貞寝しようと、祇園で豪遊しようと、すべてを投げ捨てて逃げ出そうとも、一切はむなしい。


 まだ今年を締めくくるには早いけれども、登美彦氏は以下のように語っている。
 「来年の抱負は己を知ることである」
 この場合、己を知るということは、締切次郎を駆逐するということである。
 締切次郎を駆逐するということは、すなわち敵前逃亡するということである。
 登美彦氏はなんとか敵前逃亡しようと策を練っている。
 しかし逃げられない。
 どうにもこうにも逃げられない。
 なぜかいろいろな人が登美彦氏を牢獄へたたき込もうとする。
 「机上」という名の牢獄へ。
 しかしやっぱり逃げられない。 
 それが登美彦氏の愛すべきところだ。


 しかし敵前逃亡する者は世界に平和をもたらす。
 去る者は追わず。
 世の光となれ。


 ※筆者自身も自分が何を書いているのか分からない。
 ※だが、そんなことは些細な問題である。