登美彦氏、我が子を想う


 森見登美彦氏がバスに揺られていると、知人が「本屋にならんでいましたよ」と教えてくれた。登美彦氏が二年ぶりに送り出した子どもたちは、もう書店の店先で戦っているという。
 けれども登美彦氏は、健気に戦う我が子たちの姿を見守りに行ってやったりはしないのである。なぜならば恥ずかしいし、そして眠くて面倒臭いからである。登美彦氏は我が子を甘やかさない。


 「獅子は我が子を千尋の谷に蹴落とすという・・・」
 登美彦氏はそんなことをぶつぶつ言っている。