本のご紹介

 
 

本にだって雄と雌があります (新潮文庫)

本にだって雄と雌があります (新潮文庫)


 登美彦氏が帯にコメントを寄せている。
 読み終わったあとは得体の知れない感動っぽいものに襲われ、
 「ようこんな阿呆な小説書かはるわ……」
 と茫然と呟くしかない。
 こういうとき登美彦氏は、
 自分の阿呆がいかにチッポケであるかということを思い知らされるのである。


 

厭世マニュアル

厭世マニュアル

 
 こちらも登美彦氏が帯にコメントを寄せている。
 野生時代のフロンティア文学賞受賞作品であり、登美彦氏が人生で初めて世に送り出すお手伝いをした。
 マスクをつけることによって周囲を拒絶する乙女の地獄めぐりであり、妙にリズミカルで慇懃過剰な乙女の語りが立て板に水のウザったさである。ひょっとすると登美彦氏は、この小説に自身の『太陽の塔』を重ねたのかもしれない。
 「阿川さんの今後の活躍を祈るものです」
 登美彦氏はそんなことを言っている。
 人の活躍を祈るまえに自分をなんとかしろ、という意見も当然あり得る。