「夜は短し歩けよ乙女」舞台化される。

www.yoruhamijikashi.jp

 「夜は短し歩けよ乙女」が舞台化される。

 脚本と演出を手がけるのは劇団ヨーロッパ企画上田誠氏である。

 上田誠氏にはこれまで、TVアニメ「四畳半神話大系」、劇場版アニメ「夜は短し歩けよ乙女」と「ペンギン・ハイウェイ」といった映像化でお世話になっており、さらに昨年はそのお返しとして、登美彦氏がヨーロッパ企画の舞台を小説化して『四畳半タイムマシン・ブルース』を発表した。ふたりの清らかなおじさんの間を企画が行ったり来たりすることによってお金を産みだしているわけで、この胡散臭いシステムを万城目学氏は「フィクション永久機関」と名付けた。

 そもそも登美彦氏と上田誠氏が出会ったのは、「夜は短し歩けよ乙女」の実写映画化企画がきっかけであった。その企画はあのリーマンショックによって頓挫したはずである。それから十数年、たびたび本作の映像化企画が浮上し、そのたびに上田氏は脚本を書き、にもかかわらずそれらの企画はすべて頓挫した。やっとのことで実現したのが湯浅政明監督による劇場版アニメ映画だった。つまり上田氏は、実現しなかった企画を含めると何作分もの「夜は短し歩けよ乙女」を書いてきたのである。彼は「夜は短し」の世界的権威と言ってよく、その皺深き脳の谷間には、あり得たかもしれない幾つもの「夜は短し」がひしめいているのだ。というわけで今回の舞台化は、上田氏による「夜は短し歩けよ乙女」研究の集大成となるだろう。

 明日4月29日22:00から、本作をめぐって上田誠氏と登美彦氏が語り合う予定。お時間のある方はブラリと立ち寄っていただければ幸いである。

 

www.youtube.com