「小説宝石」 11月号


美女と竹林 「孟宗竹分解法講義」


 皆さん、こんにちは。森見登美彦と申します。
 これから語ることは、多くの人にとって実益のないことですが、私はかつて裏山の和尚さんに「基本的に実益のないことしか語ることができない呪い」を掛けられていますから、諦めてください。無いものねだりをして私を苦しめても、面白いことは何一つ起こりません。実益のあることを語ろうとして自滅する私を眺めて無上の愉悦を感じる人、これはヘンタイの人です。
 では何について語るか。
 やはり竹であります。