2019年もそろそろ終わろうとしている。
登美彦氏は次回作の初稿をせめて年内に仕上げようと苦闘していたが、先週末あたりから「どうやらこれは来年に持ち越しになりそうだ」という顔つきを誰にともなく見せはじめ、今では机に向かって奈良の大仏みたいに半眼となり、ただただ穏やかな諦めの境地に達している。なんぴとといえども(編集者といえども)登美彦氏の心の平穏を乱すことはできないのである。関係各位ごめんなさい。
そんな登美彦氏の次回作はともかくとして、雑誌「モーニング・ツー」で連載が続いていたコミック版「太陽の塔」がこのたび遂に完結した。先日のクリスマス・イブ、登美彦氏はその刊行を記念して、著者のかしのこおりさんと担当編集者とともに、京都市内の書店をまわってサイン本を作った。最終巻の内容に合わせたクリスマス直前の刊行は、かしのこおりさんと担当編集者の執念のたまものである。にもかかわらず、当日誌でクリスマス前に告知できなかったことをお詫びしたい。
原作小説『太陽の塔』は傑作である。
マンガ版『太陽の塔』も傑作である。
最終巻には登美彦氏が十六年の歳月を経て「激筆」した後書きも収録されている。 クリスマスは過ぎたとはいえ、まだまだ冬はこれからである。年末年始のお休みにでも、ぬくぬくとコタツにあたりながら読んでいただければ幸いである。我々としては新鋭かしのこおりさんの次回作に期待したいが、まず登美彦氏は己の次回作の心配をすべきであろう。