課題図書としてエミリー・ブロンテの『嵐が丘』を選んだのは登美彦氏である。途中まで読んで挫折したことがあったが、「読書会」という動機付けがあれば読み切れるだろうと考えたのである。「この小説は万城目学氏の好みではあるまい」というイジワルな魂胆もあった。
案の定、万城目学氏はかなりの苦戦を強いられたらしく、読んでいる最中、「この家政婦の昔話はいつ終わるんやトミー……」などという嘆きのメールを登美彦氏に送りつけてきたりもした。とはいえ、そんな万城目学氏も読書会は楽しかったという(本人談)。たとえ苦戦を強いられた本であっても、否、むしろ苦戦を強いられてこそ、読書会は楽しいものである。ちなみに綿矢りさ氏は「面白かったっす」と言っていた。
今回、森見登美彦氏は『嵐が丘』を読んで、この古典的作品がじつにヘンテコで歪んだ作品であることに魅了されてしまった。恋愛小説というよりも怪奇小説、いっそのこと「エミリー妄想劇場」と言いたくなる。「モリミー妄想劇場」としか言いようのない作品ばかりを書いている登美彦氏としては、親近感を覚えざるを得なかった。
- 作者: エミリー・ブロンテ,鴻巣友季子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: ペーパーバック
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