森見登美彦氏はマンガを読む。
今月は楽しみなマンガが二冊出版されたという。
そうして登美彦氏がマンガを真剣に読んでいると、
妻が布団の上に三角座りをして、真剣に次のような本を読んでいた。
「おや!」
「私はグズをなおすのです」
「それは素晴らしいことである」
「でも私はグズなので、このグズをなおす本もグズグズしてなかなか読みません」
「とりあえず、せめてそれだけは読むようにしなくてはいかん」
「グズは『どんなグズもなおる本』をグズグズして読まないのです。なぜならばグズだから。だから本当のグズな人は『どんなグズもなおる本』をグズグズ読まないというグズをなおしてくれる本をまず読んだほうが良いと思うのですね」
「そんな本はないのではあるまいか」
「なければ書くのです。そうすればきっと売れると思うのです」
そういう夜だったのである。