『四畳半タイムマシンブルース』が小型化される。
中村祐介氏による新しいイラストに飾られた文庫版の佇まいは、単行本版とはまた違う楽しさ&爽やかさである。
見本を受け取るや、森見登美彦氏の内なる商魂が、
「こいつは売れるで……!」
と、力強く言ったのも当然のことであろう。
もちろん文庫解説は、原作者・上田誠氏にお願いした。
毎度言っていることだが、大きなものと小さなものを揃えるのは紳士淑女のたしなみだ。お手頃サイズのお手頃価格なので、書店で見かけたときには、ぜひとも買うべきである。そして角川文庫に収められた他の「腐れ大学生シリーズ」もずんずん買って並べれば、何やらステキなパーティになると思う。
「四畳半タイムマシンブルース」のアニメ化もちゃくちゃくと進んでいる。登美彦氏は奈良でポカンとしているだけだが、進んでいるのだ、ちゃくちゃくと。
先日、新しい予告映像と主題歌も公開された。
ヨーロッパ企画の傑作舞台「サマータイムマシン・ブルース」と、自作『四畳半神話大系』の悪魔合体という反則技を思いついたときは、ひとり薄気味悪い笑みを浮かべてニヤニヤしているだけだったが、まさか机上の妄想がここまで現実化するとは……。
関係各位のご尽力に、ひたすら感謝するほかない。
アニメの公開まではまだ少し間があるが、夏空の下でラムネを飲んで角川文庫を読みつつ、お待ちいただければ幸いである。