森見登美彦氏、遅れに遅れて帳尻が合う。

 今作は八月十一日と十二日の物語である。

 ちょうど今日と明日、作中作外がリンクする。

 というわけで、読むなら今である(だからといって、「明後日以降に読んではダメ」ということはまったくありません)。

 森見登美彦氏がこのようにバッチリのタイミングで本を出せることなどめったにない。それが今作にかぎってどうして可能であったかというと、例によって登美彦氏の執筆が遅れに遅れ、しょうがなく出版を半年延期したからである。延期したらピッタリ夏になった。乗るつもりだった電車に乗り遅れて、「これはもうダメだ」とションボリしていたら、電車のほうも到着が遅れていて、思いがけず乗れてしまったような感じである。

 したがって、威張れることは何ひとつない。