森見登美彦氏、右往左往する。


 

ダ・ヴィンチ 2016年12月号

ダ・ヴィンチ 2016年12月号


 雑誌「ダ・ヴィンチ」において、森見登美彦氏の十周年記念おわり記念特集がおこなわれている。登美彦氏のインタビュー、能登麻美子さんとの対談、さまざまな方からのお祝いコメント等、じつに盛りだくさんの内容である。十周年をさんざん延長した挙げ句にこのような立派な特集をしてもらえるとは思っておらず、登美彦氏は送られてきた雑誌をめくりながら「ありがた申し訳ない」感じに包まれている。「十周年を終わらせるのに十三年かかった」という自分の恥をわざわざ宣伝しているわけだが、もう開き直るしかないのであった。やむを得ぬ!
 ご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。


 先週末、登美彦氏は福山、広島の書店を訪ねた。
 温かく迎えてくださった書店員の皆様に登美彦氏は深く感謝している。
 広島カープのパレードを翌日にひかえた広島はすがすがしい秋晴れで、広島風お好み焼きや路面電車の乗り心地を味わうことはできたものの、出版社の皆様が知恵を絞って練り上げたアクロバティックなスケジュールであったがゆえに、書店員の皆様の歓待に後ろ髪を引かれつつも、登美彦氏は疾風のように去るほかなかったのである。いつの日か登美彦氏は広島の街を再訪し、今度は穏やかな春風のようにさまよいたいと願っている。
 また翌日、登美彦氏は大阪の書店をうろうろしてサイン本を作り、グランフロントにある紀伊國屋書店にてサイン会もした。
 紀伊國屋書店の皆様、そしてサイン会にお越しいただいた読者の皆様に登美彦氏は深く感謝している。


 嵐のような時間が過ぎ去って、登美彦氏は奈良の静けさの底にて安らいでいる。
 しかしいつまで安らいでいられるのか。
 次なる締切次郎が登美彦氏を脅かしている。