森見登美彦氏の短編「宵山姉妹」が収録されている。
1914年から、短編小説によって日本の百年を辿るというシリーズの一冊である。
(※「宵山姉妹」は『宵山万華鏡』のうちの一篇)
「日本文学100年の名作」という立派なシリーズタイトルゆえに、当日誌で紹介すると、まるで登美彦氏の作品を「名作だ!」と主張しているかのように見え、筆者としてはいささか困る。たしかに登美彦氏にとって我が子は可愛いものであって、書斎内部において「やい、名作」と小声で呼びかけるのにためらいはないようだが、それは親バカな親が我が子を見て「この子はひょっとして天才かも……末は博士か大臣かも」と夢想するのと同じことなのである。とはいえ、このシリーズに「宵山姉妹」がおさめられたことによって、登美彦氏がいささか得意になったこともまた否定しがたい事実である。親というものは、モウどうしようもない。
登美彦氏の作品はともかくとして、他にもさまざまな小説が収められている。
手にとっていただければ幸甚である。