『ひとなつの。』(角川文庫)


 ついに世界は夏休み的時空間に突入した。
 かつて登美彦氏が国会図書館というところで働いていた頃、夏休みは三日間であり、登美彦氏はそれを「三枚のお札」と称して大事に使ったものであった。それが今はどうであろう。夏休みであると言えばいつでも夏休みであり、書き終わるまで夏休みは来ないと言えば決して夏休みは来ないのである。自由なのか不自由なのか分からない。
 「有頂天」第二部はふたたび暗礁多発地帯に入った。
 こういうことになると登美彦氏は文章の書き方さえ分からなくなる。
 登美彦氏の夏休みはいつ来るのか、まったく予測がつかない。


 ひとなつの。 真夏に読みたい五つの物語 (角川文庫)


 いかにも夏にふさわしそうな文庫本が出たので紹介する。
 登美彦氏の短編「郵便少年」がこっそり入りこんでいる。


 ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)


 「郵便少年」は『ペンギン・ハイウェイ』の番外編である。
 暑い夏には『ペンギン・ハイウェイ』を読めばサワヤカに涼しくなることウケアイ。
 この二冊は夏休み的時空間内部で読むべき本である。
 だからどんどん文庫本をお買い上げいただけたらステキなのである。
 「孫たちの活躍に期待するしかない」
 登美彦氏は言っている。
 「ありがたいありがたい」