森見登美彦氏の作品史上、もっとも毛深く波乱万丈な小説がアニメになるという。
氏の作品のアニメ化としては、『四畳半神話大系』に続いて二作目である。
以下はアニメ化にあたっての登美彦氏のコメントである。
『有頂天家族』アニメ化にあたって
今を去ること十年前、京都は北白川の四畳半において私が孤独にふくれていた頃のこと。夜半、牛丼でも食べようかしらんと下宿を出て、静かな住宅街を歩いていくと、街灯の下を駆け抜けて側溝に隠れた毛深きものあり。「なにやつ!」と覗いてみたら、一匹の狸がキョトンとこちらを見上げていたのであった。
その運命的瞬間に天啓を得た『有頂天家族』という作品が、十年の歳月を経て、スタッフの方々が創意工夫を凝らされた一大アニメーションへと、気宇壮大な化け術を披露するまでに至ったのは驚嘆すべきことである。原作の一行一行にこだわる映像化にあたって、スタッフの方々の御尽力はまことに凄絶、鬼気迫る「阿呆」というべきであり、それもそのはず監督自身なにやらフンワリと狸っぽい気配がなきにしもあらず。狸気濛々たるアニメの放映を、原作者として心待ちにしている次第である。
「そんなに素晴らしいアニメがあるなら強いて原作を読む必要はあるまい」と考える人がいるのも当然だが、この世で真にスバラシイ人物とは、アニメを讃えて原作を読み、原作を讃えてアニメを観てくれる人である。そうとも。アニメと原作をあわせて楽しめる広々とした心を持つことが現代日本における紳士淑女の嗜みであるという点にあらためて読者諸賢の注意を喚起するとともに、京都に暮らす毛深きものたちの今後益々の活躍を祈念して、今日のところは筆をおく。
二○一三年三月二十一日
原作者森見登美彦記す
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/08/05
- メディア: 文庫
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以下は詳細な情報である。
uchoten-anime.com
TVアニメ『有頂天家族』
「面白きことは 良きことなり」
「有頂天家族」が今年7月TVアニメ化決定!
キャラクター原案は「さよなら絶望先生」「じょしらく」の久米田康治先生がご自身の作品以外に初めて原案を提供。今回のティザービジュアルも、久米田先生の描き下ろしで
す。アニメーション制作は富山から「true tears」「花咲くいろは」「TARI TARI」など数々の名作を世に送り出してきた実力派スタジオ・P.A.WORKSさんが担当。
吉原正行監督のもと、P.A.WORKSが新たなジャンルへと挑む渾身のアニメーション作品になります。
京都を舞台に、狸と天狗と人間が入り乱れて繰り広げる波乱万丈のハイセンスコメディドラマ、遂に解禁!!
【キャスト】
下鴨矢三郎:櫻井孝宏
下鴨矢一郎:諏訪部順一
下鴨矢二郎:吉野裕行
下鴨矢四郎:中原麻衣
弁天:能登麻美子
母:井上喜久子 ほか
【スタッフ】
原作・森見登美彦『有頂天家族』(幻冬舎文庫)
監督・吉原正行
キャラクター原案・久米田康治
シリーズ構成・菅正太郎
キャラクターデザイン・川面恒介
美術監督・竹田悠介、岡本春美
音楽・藤澤慶昌
アニメーション制作・P.A.WORKS
6月16日 作中にも登場する京都四條 南座にて先行プレミアムイベント開催決定!
イベントの詳細情報は今後アニメ公式サイト(uchoten-anime.com)にて随時公開予定です。