『四畳半神話大系』動く。


 森見登美彦氏のひねくれ者の次男が、活動漫画化されるという。


 http://noitamina.tv/yojouhan/


 「同じ文章ばっかり読まされてチョーうんざりデスヨ!」
 といういわれのある非難を受けても堪えてきた次男が、
 乙女の天真爛漫すぎる活躍の蔭に隠れてきた次男が、
 華やかな場所に出てくるのである。
 心配なことは、
 「同じアニメばっかり見せられてチョーうんざりデスヨ!」
 という人が現れることである。
 しかしその場合、一切の責任は登美彦氏にある。
 

 登美彦氏はアニメーションに詳しいというわけではない。
 しかし原作がやや風呂敷を畳み損ないがちの森見登美彦氏であり、キャラクターをデザインするのが『夜は短し歩けよ乙女』を愛される作品にしてくれた中村佑介氏であり、脚本を書くのがハニカミがち超絶技巧の人である上田誠氏であり、監督するのが「マインド・ゲーム」の迫力でちょっと登美彦氏を怖がらせた湯浅政明氏である、と言う風に見ていくと、「何やら大いにヘンテコなものができそうな、きな臭い気配が…」という期待に胸が膨らむのであった。
 なによりもけっこうなことは、才能ある人々が結集してその無闇にヘンテコなるものを作ってくれることである。登美彦氏はちょっと離れた幻想の丘の上から、ポカンと眺めているだけでよいのだ。
 こんなに素晴らしく、罰当たりで、お気楽な稼業があるだろうか。


 そして登美彦氏は懐手して、ヘンテコなる活動漫画が出現する春を待つのである。