『美女と竹林』(光文社)


 

美女と竹林

美女と竹林


 森見登美彦氏はあまりに慌ただしい日々を送っていたので、我が子が誕生することをお知らせするのを忘れていた。
 反省すべきである。
 8月20日頃から書店にならぶであろう。


 「しかし・・・この七番目の子どもは・・・」
 登美彦氏は呟く。


 「いくらページをめくっても、登美彦氏登美彦氏登美彦氏登美彦氏登美彦氏・・・出てくるのは登美彦氏ばかりである。そんなふうに出しゃばってきて、何をするのかと思えば竹を刈る。『そうか竹を刈るのかそれでどうする?』と思って油断していると、本当に竹しか刈らない。ここで『おいおいマジかよ竹を刈るだけか』と思う人間は甘いのである。ついには竹を刈りさえしなくなる。埋め合わせに蘊蓄を語りだしてもあとが続かない。感動実話かと思えば感動しない、しかも実話ですらない。山もなければ谷もない。驚愕の展開も、荒唐無稽な風呂敷畳みも、アッと驚くオチもない。大団円は捏造だ。せめて実益があるかと思えばそれもない。いったいおまえは何者だ!!」


 「無益で楽しい文章だよ」
 七番目の子どもがこたえる。「そうだとも、父さん」
 「無益であることは認めよう」
 登美彦氏は首をかしげる
 「・・・しかし楽しいのか?俺が楽しいだけではないのか?」
 「え?それじゃダメなの?」


 ちなみに登美彦氏はサイン会を行うということである。
 (※問い合わせ先に間違いがありましたので訂正しました。申し訳ありません)


 『美女と竹林』刊行記念 森見登美彦氏サイン会
 9月27日(土)15時より 先着100名様
 京都の大垣書店烏丸三条店にて
 問い合わせ:075−212−5050
 ※新刊お買い上げのお客様、限定100名様に整理券を差し上げます。