登美彦氏、うろうろする。


 森見登美彦氏の日々の行動を報告しようと思うのだが、五月〜六月にかけてはほとんど机上の戦いに終始しているので、おもしろおかしい出来事が何もない。
 「このおもしろおかしくもなさが書くものにまで波及したらどうする!もしくは、もう手遅れかもしれない。これは一大事!」
 登美彦氏はそんなことを言いながら、何ら手を打とうとしない。
 億劫だからである。
 「億劫がる己にあくまで忠実に、それでもなお、おもしろおかしい出来事を味わいたい」
 そんなことを言う。
 あまりにも虫がよすぎると言わねばならない。


 登美彦氏は締切次郎を蹴飛ばしながら、部屋をうろうろしている。
 あんまり詰まると、すがる締切次郎を蹴り倒し、ふいに大空へ飛び立つ。
 そして敵機を華麗に撃ち落として帰還する。
 「Nice kill!」
 登美彦氏は「エースコンバット」というゲームをしているのだ。
 飛行機恐怖症で知られる登美彦氏だが、ゲームの中では空の英雄である。
 

 とりあえず「生きている」という報告である。
 「内容がないだと?なにをカンチガイしているのか!」
 登美彦氏は虚空に向かって威張る。
 「中身がないのはいつものことだ!」