登美彦氏、走りだす。


 登美彦氏はまだ完全回復とまではいっていない模様だが、とりあえずいろいろな用事を片づけるべく、走りだした。
 まずは木曜の夜まで頑張って走るという。

 
 しかし、自分がなぜ走っているのか登美彦氏には分からない。
 誰にも分からない。
 神様でなくちゃ分からない。
 〆切の神様でなくちゃ。


 「歩いたっていいんじゃないかしら?ねえ、お嬢さん!」
 登美彦氏は呟く。「だって人間だもの!」