登美彦氏、自家中毒になる。


 森見登美彦氏は延々と「ゲラ刷り」というものを読み続けている。登美彦氏はゲラ刷りを読むことが苦手である。当然ながら、どこまでいっても変わり映えのしない、自分の書いた文章だ。だんだん腹が立ってくる。「いったいこの人はなんでこんなに延々と書いているのか」と思われてくる。上手く書けたのか、書けていないのか、分からなくなってくる。あちらを直して、こちらも気になる。しまいには頭がくらくらして気持ちが悪くなる。自家中毒である。