2007-06-03 第五男、毛深い子。 日々 森見登美彦氏はようやく第五男、毛深い子を東京へ送り出した。 まだ名前がついていないので、「毛深い子」と呼ばれているのは哀れであるが、毛深いのだから仕方がない。 自分でまいた種とはいえ、なにしろ毛深い子であるから、毛がこんぐらがってほどけず、登美彦氏はたいへん苦労をした。 登美彦氏は六盛の鱧のお弁当をもって晩餐とし、お酒を飲んでお祝いした。 「しかしここから先がまた長い!」 登美彦氏は溜息をついた。 「しかもほかにまだまだ用事がある」 喜びに浸っているひまがない。