登美彦氏、花に埋もれる。


 森見登美彦氏は部屋にたくさん花があるので、困っている。なにしろ登美彦氏は農学部というものを出ているにもかかわらず、花を愛でるという気持ちが皆無であるからだ。
 「お祝いして頂けるお気持ちはありがたいのだけれど、我が家における美しい花々の宝の持ち腐れっぷりが哀れでならぬ。そして花というものはどこへどう置けばいいのやら分からない」
 登美彦氏はたくさんの花を背にして少女漫画ごっこでもしようかと思ったようだが、そいつは無理な相談だ。