登美彦氏、河豚を賛美する


 森見登美彦氏は同期の人々と鍋をつついた。
 同期の人々と飲み食いするのは良いことである。そして冬に鍋をつつくのも良いことである。鍋が河豚鍋であることも良いことである。良いことが三重に重なるのはさらに良いことである。そういう素晴らしい環境下にあって、近来、己の無能に嫌気がさしていた登美彦氏も、いささかウップンを晴らした。
 登美彦氏は、あふあふと食べながら、
 「河豚よ。偉大なる河豚よ、貴君は美味い。よくやった!」
 と呟いた。