登美彦氏、注意を喚起する。


 森見登美彦氏はムツカシイ顔をして立ち上がり、会場を埋め尽くした聴衆に向かって、次のように演説した。


 「みなさん!運転免許証の更新手続きは忘れないようにしましょう!たとえ車を持っていない似非ドライバーであるにせよ、「うっかり失効」してはなりません。なんだかオモチロイ名前の失効だ、などと喜んでいてはいかん。冗談じゃない。万が一、失効した免許証を持って運転すれば、無免許運転でたいへんです。なにしろ失効した免許証は紙切れ同然であるから、レンタルビデオ店の会員にさえなれないであろう!これはいわば、人間としての失効を宣告されたのも同然の恥辱であります。代わりに保険証を使えとかそういう問題じゃない」


 聴衆の一人は「ひょっとして登美彦氏はうっかり失効したのではないか」という見解を述べたが、登美彦氏側は明確な返答を避けている。