2006-11-04から1日間の記事一覧

「asta*」12月号(11月6日発売)

「恋文の技術」 第一話「外堀を埋める友へ」 四月十日 拝啓。お手紙ありがとう。研究室の皆さん、お元気のようでなにより。 君は相も変わらず不毛な大学生活を満喫しているとの由、まことに嬉しく、上には上がいるものだと感服した。その調子で、何の実りも…

登美彦氏、書き終わる

森見登美彦氏はひねくれ者の狸たちが乱舞する小説をようやく書き終え、東京へ向かって送り出した。 古本市へ行く気まんまんだった登美彦氏は、すでに時間が五時をまわっていることに気づき、「終わってるがな!」と叫んで、しばらく立ち直ることができなかっ…