森見登美彦氏、「京大的文化」について語る。

 

京大的文化事典 自由とカオスの生態系

京大的文化事典 自由とカオスの生態系

  • 作者:杉本恭子
  • 発売日: 2020/06/26
  • メディア: 単行本
 

 つねづね森見登美彦氏の考えていることがある。

 今の京大生というものは、きっと登美彦氏のことを、

 「なんやアイツ」

 と思っているにちがいない。

 登美彦氏が京大生なら、そう思う。

 ひとつだけ言わせてもらうなら、登美彦氏の作品に登場する「大学」と、現実に存在する京都大学はイコールではない。かといって「イコールでない」とも言い切れない。京都大学で過ごした学生時代は登美彦氏に多大な影響を与え、その経験から生まれた妄想が作品に持ちこまれているからである。一体どこまでが「京大的文化」であり、どこまでが「登美彦氏の妄想」なのか?もうグチャグチャである。

 だから「京大的文化」について語るのはムツカシイ。

 いや、そもそも、そのような「文化」が本当にあるのだろうか?

 ご興味のある方は本書、是非よろしくお願いいたします。

森見登美彦氏、ふたたび生配信をする。

 先日、森見登美彦氏は小説「四畳半タイムマシンブルース」の連載開始を祝って、劇団ヨーロッパ企画上田誠氏と生配信をおこなった。

 次は万城目学氏もまじえた三人である。

 6/30(火)22:00~ 万城目さんと森見さんと上田が近況を報告しあう会 

www.europe-kikaku.com

 とくにこれといったテーマはないらしいので、毎年開催されている忘年会のごとく、心の清らかなおっさんたちが集い、万城目学氏のおもしろ近況報告を謹んで拝聴する夜になるのであろう。それにしても、同じメンバーでフジテレビ「ボクらの時代」に出演したのはいつであったか。驚くなかれ、まるまる三年前である!という驚きの事実に登美彦氏はあらためて驚きなのである。光陰矢のごとし。 

『太陽と乙女』(新潮文庫)

太陽と乙女

太陽と乙女

 

 6月24日、森見登美彦氏のエッセイ集『太陽と乙女』文庫版が発売となる。

 デビューから十七年、ほぼすべてのエッセイをぎゅうぎゅうに詰めこんであるので、文庫版はじつに561ページという大ボリュームとなった。じつに愛らしいコロコロ感、まえがきにあるような「寝る前に読む本」としても長持ちするにちがいない。文庫化にあたって、(1)マンガ版『太陽の塔』に寄せたあとがき、(2)西東三鬼『神戸・続神戸』に寄せた文庫解説を追加している。

 さらに特別付録的な意味で「このエッセイはフィクションです」という長めの文庫あとがきをつけた。「いかに自分はエッセイを書くのが苦手であるか」という嘆きをぷちぷちと書き綴ったもので、どう考えてもエッセイ集の締めくくりにはふさわしくないが、書いてしまったものはしょうがない。

 以下、登美彦氏がとくに気に入っている文章のタイトルを挙げる。

 ・カレーの魔物

 ・『有頂天家族』第二部刊行遅延に関する弁明

 ・或る四畳半主義者の思い出

 ・マンガ版『太陽の塔』あとがき

 ・長い商店街を抜けるとそこは

 ・ならのほそ道

    第一回 生駒山

    第二回 大和西大寺駅

    第三回 大和文華館と中野美術館 

    第四回 志賀直哉旧居

    第五回 高山竹林園

 ・春眠暁日記

 ・窓の灯が眩しすぎる

 ・記念館と走馬灯

 ・「森見登美彦日記」を読む 

 最近、登美彦氏はいよいよエッセイを書かなくなってきた(その深遠な理由については本書収録の「このエッセイはフィクションです」を参照)。こんなノロノロしたペースでは、次のエッセイ集を出版できるだけの分量が溜まるのは遥か遠い未来、もしかするとエッセイ集なんて二度と出版できないかもしれない。

 というわけで、この本がオモシロいかどうかは個人の趣味の問題だが、めずらしい本であることだけはたしかである。買うなら是非ともお早めに、どうぞよろしくお願いいたします。

 あと「ならのほそ道」で思いだしたが、登美彦氏の奈良仲間・前野ひろみち氏の『満月と近鉄』も好評発売中なので、あらためて宣伝しておく。登美彦氏と前野氏の対談も巻末に収録されている。登美彦氏による「ならのほそ道」と合わせて読めば、いっそう奈良に心惹かれること間違いなし。

 京都もいいが、奈良もいい。

満月と近鉄 (角川文庫)

満月と近鉄 (角川文庫)

 

森見登美彦氏、読んではならぬ怪文書を読む。

kadobun.jp 

 たしかにこれは「怪文書」である。

 賢明なる読者諸氏はこんな胡散臭い文章を読んで時間を空費してはならない。この記事において仄めかされていることが真実か否か、そんなことは前野ひろみち氏の著作を自分で読めば容易に判断できよう。

 なお、前野ひろみち氏のinstagramは「さすが畳屋さん」というべし、ストイックで素敵なものである。そこに広がる畳宇宙を眺めていると、奈良の水田に吹きわたる初夏の風さえ感じられる。主題が「畳」であるだけに、元四畳半主義者の登美彦氏としても注目せざるを得ないのである。

 https://www.instagram.com/hiromichi_maeno/

満月と近鉄 (角川文庫)

満月と近鉄 (角川文庫)

 

前野ひろみち『満月と近鉄』(角川文庫)

満月と近鉄 (角川文庫)

満月と近鉄 (角川文庫)

 

  森見登美彦氏が「四畳半タイムマシンブルース」という畳ギャラクシーSFの連載を始めるのと時を同じくして、奈良の畳屋さん・前野ひろみち氏の伝説的短編集(『ランボー怒りの改新』)が、そのタイトルを『満月と近鉄』とあらためて角川文庫に入った。これも何かのご縁である。

 「佐伯さんと男子たち1993」「ランボー怒りの改新」「ナラビアン・ナイト 奈良漬け商人と鬼との物語」そして表題作「満月と近鉄」、いずれも奈良を舞台にしたバラエティのありすぎる四作から成る短編集であり、この文庫版には仁木英之氏の解説に加えて、前野ひろみち氏と登美彦氏の対談も収録されている。

 奈良を舞台にした小説といえば、万城目学氏の『鹿男あをによし』を思い浮かべる人もあるだろう。しかし登美彦氏はいささかのためらいもなく奈良の浪漫派・前野ひろみち氏の肩を持つ。奈良を愛する人近鉄電車を愛する人、べつにどちらでもない人、あなたも私も、みんな読むべき傑作である。 

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森見登美彦氏、生配信をする。

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 先日お知らせしたとおり、カドブンというところで「四畳半タイムマシンブルース」の連載が始まった。小説『四畳半神話大系』と舞台『サマータイムマシン・ブルース』を強引に融合させてしまおうという企画である。

 原案者の上田誠氏に「せっかくなのでお祝いをしましょう」と誘われた。というわけで、5月19日の夜22:00から二人でひっそりお祝いをする。

 お暇な方は「ヨーロッパ企画の生配信」を覗いてください。

www.europe-kikaku.com

『四畳半タイムマシンブルース』連載開始

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 うかうかしているうちに、

 『四畳半タイムマシンブルース』、

 本日からカドブンにおいて掲載開始である。

 五月、六月、七月の三ヶ月にわたって連載される。

 森見登美彦氏の小説『四畳半神話大系』およびヨーロッパ企画の舞台「サマータイムマシン・ブルース」に基づく。ようするに明石さんや「私」、小津や樋口氏や羽貫さんや城ケ崎氏という『四畳半神話大系』のキャラクターたちが「サマータイムマシン・ブルース」をやればどうなるか、という素朴な発想である。

 『四畳半神話大系』は十六年前の作品であり、湯浅政明監督によるテレビアニメでさえ十年前。すでに不惑を過ぎた作者としては今さら四畳半世界へ戻るのも気恥ずかしく、「満を持して」などというべきタイミングも逸している。何もかもが手遅れだ。しかし思いついてしまったのだからしょうがない……しょうがないのである……。

 ヨーロッパ企画上田誠氏には「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」「ペンギン・ハイウェイ」のアニメ化でたびたびお世話になってきた。今回の企画はいわばその「恩返し」を、遅ればせながら目指したものである。うまくできたかどうかはともかくとして。

 あわせて原典も楽しんでいただければ幸い。 

 とはいえ、原典を知らなくても本作を読むにあたって支障はない。 

四畳半神話大系 (角川文庫)

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四畳半神話大系 Blu-ray BOX

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  • 発売日: 2014/06/18
  • メディア: Blu-ray
 
サマータイムマシン・ブルース [Blu-ray]